言葉は使う人たちによって形作られる

間違った意味として使われている言葉に、「情けは人の為ならず」があります。
本来の意味は、『人に情けをかけるのは、その人のためになるばかりでなく、やがてはめぐりめぐって自分に返ってくる(故事ことわざ辞典)』というものです。
この言葉のよくある間違いは、『人に情けをかけると、その人のためにならないから、やめたほうがいい』というものです。

本来の意味で言えば、人に情けをかければそれが返ってくるのだから、どんどん情けをかけなさいと言っているのに、それとは全く反対の意味で理解されてしまっています。
ことわざは、端的に伝えたいことを伝えられるので便利です。
ですが、一見した意味とは違う意味で使われている場合も多くありますので、しっかりとその本質を理解して使う必要があります。
ことわざって難しいです。

と言っても、これはことわざに限った話ではなくて、日本語そのものが世界的にも難しい方の言語に入るそうです。
私が前に聞いた話では、世界の三大難しい言語のうちに日本語が入っているとか。
ちなみに他の2つは、アラビア語と中国語みたいです。

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「11月3日の日曜日は文化の日で祝日」

この文は日本人なら特に考えることなく、スラスラと読めますよね。
この文中には、「日」が5回登場しています。
その5回とも、全部読み方が異なっています。
一応、「日」をカタカナにして記しておくと、

「11月3カのニチ曜ビは文化のヒで祝ジツ」

です。
同じ「日」なのにこうも読み方が違います。
外国人にとって、日本語は難しいというのもわかる気がします。

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ただ、言語とは正解があるものでもありません。
必ずこの言葉はこういう意味でなければ使ってはいけません、などと言うことはできないのです。
なぜならば、言葉の意味とは使う私たちによって形作られるものだからです。

言葉は、時代の流れとともに変化するものです。
今はこういう意味で使われている言葉でも、何十年後か先には全く違った意味で使われているかもしれません。

中学校や高校で、古文を勉強しますよね。
言葉がずっと変わらず同じ意味で使われてきているとしたら、そもそも古文なんて勉強する必要はありません。
言葉が今と昔では違うから、勉強の題材になっているのです。
現代で、平安時代の言葉を日常語として使っている人なんていませんよね。
(ここでは、古文なんて今は誰も使っていないんだから、そもそも勉強する必要がないとか、そういう問いをしているのではないです。)

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冒頭の、「情けは人の為ならず」は、誤用が多い言葉と紹介しました。
しかし、今は間違っているかもしれませんが、この先はわかりません。
やがてその間違った方の意味も含まれる日がくるんじゃないかと、私は思っています。
きっとそうやって言葉は変化してきたはずですので。

言葉とは、使う人たちによって形作られるものです。

現場からは以上です。

ありがとうございます。
TatsuruHonda

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